エントランス・シンクロニスシィ
昨晩、息子一家が家に来ていたので夜は出前の寿司を注文した。食べ盛りの男の子もいたので大小2つの寿司桶となった。朝までに桶をマンションのエントランスに出しておいてほしいというので夜のうちに、出しておいた。
翌朝のことである。買い物に出かけようとマンションの入り口の扉を開けたところ、すぐそこに寿司桶が置いてあった。
一緒にいた息子はそれに気がついて私に言った。
「お父さん、寿司桶はここじゃなくて、裏の郵便ポストのほうにおいてほしい、ってお寿司屋さんは言ってたでしょ?」
私は昨晩、確かに裏側においたはずだった。それがなぜ、ここにあるのか不思議に思った。誰かがいたずらで裏側からこちらに移動させたのだろうか。
私は不吉な予感を感じて、走って裏側に回り込んだ。すると、
裏側にもちゃんとあった。私が置いたのはこちらである。
つまり、単なる偶然であった。