CERNの憂鬱

今をさかのぼること20年前、仕事でジュネーブに10日間ほど滞在した。ホテルはレマン湖のほとりの古風なホテルで、仕事場は空港のそばだったので毎日の往復には電車を利用していた。ある日、少し寝過ごしていつもの電車を逃してしまいバスを利用することにした。それが間違いのもとだった。私を乗せたバスは欧州原子核研究機構(CERN)に到着してしまったのだ。

 

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すぐに引き返せばいいのだが少し興味もあったのでCERNの敷地内を歩いてみることにした。当時CERNには世界最大の粒子加速器があることは知っていた。実際にそれを見てそのあまりの大きさに圧倒された。それは「大型電子・陽電子衝突加速器(LEP)」であった。円周は27kmというからちょうど山手線の大きさである。

さて同じころ、CERNでは加速器を動かすうえで重要な磁場の擾乱に悩まされていた。その擾乱が原因で粒子の衝突試験が暗礁に乗り上げていたのだ。そのこと知ったのはジュネーブでの仕事を終えて帰国してからだった。その頃に入手したデータは手帳に記しておいたのだがそれをここに再現してみる。

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このように年間を通しての季節変動、そして一日の中での変動の両方で悩まされていたのである。いすれも特徴のあるデータである。

まず、年間変動の要因はレマン湖の水量の変化である。春先、アルプスの膨大な雪止め水でレマン湖の水位は上昇する。つまりそこに質量が大きくなるのである。それにより加速の一部は微少ではあるが変形する。それは素粒子から見たら大変な変動に相当するのである。

次に日々の変動だがグラフには①一日周期の変動と②一日の一定期間(朝5時から夜23時)のパルス状の変動の2つが認められる。①は年間変動とほぼ同じ理由である。ただし今度は月による潮の満ち引きである。スイスは内陸に位置するのだが地球全体の潮の満ち干による微少な引力の変化を受けてしまう。②は何か。これはCERNの付近を通る電車の走行の影響で磁場の微弱な変化を受けてしまうのである。

LEP加速器はこうして外部からの影響のその対策に追われただけでプロジェクトしては失敗に終わった。加速器の黎明期ならではの顛末である。しかし、逆に考えるとLEPは潮の満ち干に対してきわめて高い精度で測定できたと言えはしまいか。

以下は2003年の記事である。これこそがそれを証明していることは私しか知らない。


海のないスイスが海を征服 ア杯ヨット大会 : 東亜日報 (donga.com)

 

海に接していない「大陸の島」スイス。アルプスの国スイスが「海洋戦争」で最後の勝利を収めた。2日、ニュージランドのハウラキ湾で行われた第31回アメリカズカップ(ア杯)ヨット大会決勝戦の第5戦。スイスの「アリンギ・チャレンジ」号は大会2年連続優勝に輝くニュージランドの「チーム・ニュージランド」号を45秒差で破り、優勝を勝ち取った。

あっくんと短文

あっくんは短文作りの天才である。短文作りとは与えられた言葉や言い回しを使った短い文を作ることだ。たとえば、

例題1:「もし~なら」

あっくんの回答:「もしもし奈良の人ですか?」


例題2:「うってかわって」

あっくんの回答:「彼は頭をうってかわってしまった」


例題3:「あたかも」

あっくんの回答:「冷蔵庫に牛乳があたかもしれない」


RAIN

RAIN 雨が
RAIN 好きよ
RAIN 濡れた
RAIN 髪も歌う

野球帰りの少年たちが
街を走り抜けると
もうじき夏ね

RAIN 彼を
RAIN 待つの
RAIN ほかに
RAIN 何もないから

こうもり傘で顔を隠した
通り過ぎるパレードの影に
そっぽ向くの

斜めの雨の糸
破れた胸を縫って

RAIN 雨が
RAIN 好きよ
RAIN 街も
RAIN 白くかすむ

予報とおりね
フラれることは
そして伝言板
黙って見てた