2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

クロスファイア('00)

アミューズメントランドという名前で登場する遊園地は、横浜市戸塚区にあったドリームランドである。2002年に経営不振で閉園した。この映画は公開2000年なので閉園の直前にここで撮影された。 1976年に設置されたフランス製の2層式メリーゴーラ…

野武士よ、今いずこ(中野・東京都)

一つの美しい言葉に出会うために数多くの言葉に裏切られていくのだ美しいものを信じすぎてそれがひび割れていくことにひたすら耐えていくのだ 一瞬の間に無限の快楽を味わいえたものにとって永遠の劫罰が何の意味があるか、とかのボードレールも言っている …

Clapton監修アコースティックギター弦(by Marting)

華やかさ、派手さを抑えて落ちついたブルース向き。スタンダードタイプより値段はやや高め。

林檎(第6回)

とうとうこの仕事も終わりが近づいてきた。一輪車の運転も自分でもわかるくらい上達した。いろいろな人から「腰が入ってきたな」と言われるようになった。最後の晩は、僕を含めてこの飯場をあとにする人たちの送別会だった。とは言っても普段と何も変わらず…

下りのホームに列車が到着するまでその娘はずっと黙りこくっていた。列車が到着してその扉が閉まる瞬間、彼女は意を決したようにこう言ったのだ。「ゆ・・・」発車のベルにかき消されて僕の耳に届いたのは、 の一文字だけであった。それから長い歳月が流れた…

林檎(第5回)

土曜日は午前中で仕事は終わりである。一日と半日は大きな違いだ。午前中だけだと半日分の体力が残っているという感じだった。僕たちが部屋に戻ってくると、現場監督の青木さんが金庫を片手に現れた。土曜日は流れ人夫の僕たちにとってはうれしい給料日であ…

林檎(第4回)

僕は毎日土砂を運んでいるうちに少しずつ仕事にも慣れてきた。みんなの名前も覚えたし、酒の席でもすこしずつだが輪の中に入れるようになった。ある晩、いつものようにみんなと酒を飲んでいると後ろから背中をたたかれた。振りかえってみると吉田爺さんだっ…

林檎(第3回)

翌日、寝苦しさで目を覚ますと2階の大部屋には僕だけだった。山本たちの姿もない。薄いトタン屋根から熱がしみだして蒸し風呂とはまさにこれのことだ。さらに昨晩の酒がまだ全身に残っていてまるで動けない。枕元にはヘルメットと軍手が置かれている。しばら…

林檎(第2回)

僕たち3人はプレハブ小屋の1階に通された。そこは食堂で30人ほどが食事ができるスペースだった。安川さんは僕たちにテーブルに座るように勧めると厨房に入って行った。しばらくして女性二人を従えて出てきた。どうやら夕食の準備をしていたらしい。安川…

自由研究:福島市笹谷地区の近代化の歴史

■はじめに 国土地理院は地勢調査のために日本全国を対象とした詳細な航空写真を過去から保有しており、それを一般に公開している。そのデータをもとに、福島市笹谷団地とその周辺の戦後の歴史をさぐろうというのがこの試みの目的である。特に60~70年代の高…

蜃気楼の少女

息が凍りつくように冷たい朝、長い坂道を上り詰めたところに水平線が望める小高い丘がある。君は毎朝、そこに立って沖をゆく白い船の影を見つめている。風にひるがえる麦わら帽子を押さえながら海からの照り返しを受けている。傍らではふさふさとした毛の子…

村祭り

仲間たちに告げることなく君と二人で訪れたひなびた山奥の村祭り。ほのかな提灯の灯りに集う年老いた人たち。少しだけさびしげな太鼓の音が響き、忘れ去られた思い出のように老いた歌声が流れる。老婆に従われた子供が僕たちに歩み寄って酒をふるまってくれ…

ちょうど半世紀前の事件

記憶の固執

彼の名は。

テレビから煙草の宣伝がまったくなくなって久しい。テレビだけではない。新聞・雑誌の広告や街の看板でもほとんど見かけない。時代の流れには逆らえないが、愛煙家としては寂しい限りである。だいぶ昔のことになるが、とある煙草でテレビCMのアイディアを募…

エントランス・シンクロニスシィ

昨晩、息子一家が家に来ていたので夜は出前の寿司を注文した。食べ盛りの男の子もいたので大小2つの寿司桶となった。朝までに桶をマンションのエントランスに出しておいてほしいというので夜のうちに、出しておいた。翌朝のことである。買い物に出かけよう…

林檎(第1回)

僕たち三人がT市の駅に降り立ったのは真夏の昼下がりのことだった。僕たち三人をおろすと汽車はかげろうにゆれて緩やかなカーブの中へと消えていった。向こう側のホームでは駅員が一人、汗をぬぐいながらホースで水をまいている。僕たちはバッグをベンチに…

円盤の形に並ぶ旨味?

福島市内のスーパーで偶然に発見。市長のコメントとサインである。円盤の形に並ぶのは旨味ではなく餃子だと思うが。日本語が少々変なのはご愛敬か。 福島市における円盤餃子の位置づけはこちらを参照願いたい。 早速、賞味してみたが、円盤の形に並んでいる…

ご近所奇譚

長男が3歳だったのころのエピソードである。彼にはその当時不思議な力があった、と私は今でも確信している。 ■公園墓地ある晴れた秋の日、私は彼と二人で近所の公園墓地を散歩していた。 二人並んでいくつもの墓の前を通り過ぎた。彼はふと足をとめると見ず…