夜汽車

憂いを残して夜汽車は南へ走る
時の流れとすれ違うように走る

静けさが今友達なら
だまって窓にもたれよう

どこかで目覚めたばかりの
赤ん坊の声がよく響く

そのけたたましいほどの泣き声を
誰も憎むことはできない

人生が繰り返すものなら
またいつか君と出会うだろう


走り行く列車の網棚の上におかれた
誰にもなじみの菓子箱がひとつ揺れてる

その帰りを待つ人々たち
そして帰っていく人

一人の人生は
いくつかの絆でむすばれてる

その美しすぎるほどの絆を
ほどきながら汽車はゆく

遠ざかるほどきみは近づく
僕の心のレールを走って


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